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衝突する二人の男がルームの中央付近にいて、辰己と同じように壁際に被害を被らないようにしている男女がちらほら。赤みがかった茶髪の頭に手を添えたままトレーニングに勤しんでいる二人を見て、
「ああそうだった、拳(けん)の奴帰ってきてたんだったな」
「帰ってくるなり『肩慣らしがしたい』ってうるさくて。今は隼(はやぶさ)さんが仕方なく相手をしてます」
声変わりがまだの辰己は女の子みたいな声で返す。
「で、どうだったんだ?アブノーマル・ファイトの結果は」
「準優勝だったみたいですよ。あとちょっとってところで負けちゃったらしく、その悔しさも一緒に晴らしてるんじゃないですかね」
「わざわざ海外の大会にまで行って準優勝なら十分だろうに。まあ拳の性格じゃ、優勝しなきゃ価値はないと思ってるんだろうがなぁ」
「あっ!?ちょっと待て拳!隊長が来てる!ストップストップ!!」
「ああ!?いいところでやめられるわけねえだろ!つーかブンブン飛び回ってんじゃねえよ隼!!」
「テメーの馬鹿力に真正面からやり合えるかってんだ!」
自分の存在に気づいたようだが拳と言う名の大男は止まらない。金切り声を上げて逃げ回る隼は方向転換して何故かこちらに"飛んできて"、
「隊長交代!隼さんはもうあいつの相手に疲れた!!」
「めんどいから却下」
「そんなぁ!頼むよもうあいつの相手しんどいんだから!」
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