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「そいっ」
ゴチーン!!!と痛々しい音が脳天に炸裂した。剣の腹でブッ叩かれた拳はぐりんと白目を剥きうつ伏せに倒れ落ちる。
途端に拍手が起きた。見ていた魔術師たちが称賛する中、少年も手を叩き声を張る。
「はい、訓練終了~」
彼こそ、日本魔術協会の中で逸脱した人物。
魔術師でありながら魔術を否定する、そんな魔術の使い手は協会の人間たちの間ではこう囁かれている。
―――『異質の神童』。魔術という異常を司る人間たちにとっても異質とされる存在。
それが『過ち砕く断罪の聖者(ペナルティーブレイカー)』。
本名は―――奥野 陽京(おくのひきょう)。
◆
「相変わらずあんたはすごいなぁ、あんな簡単に拳をあしらえんのはあんたくらいのもんちゃうか?」
廊下を並んで歩く右側の少女、黒髪をツインテールにした関西出身の魔術師霧春 霞(きりはるかすみ)は陽京の背中を叩きながら言った。
意外と強い叩きに陽京が顔を歪めているが、陽京の左側にいる辰巳はスマートフォンを弄りながら、
「間違いないですよね、隊長のあの剣の前じゃどんな魔術師もお手上げですよ」
「体に触れただけで発動してる強化術を強制的に解除するんやもんなぁ、どんだけ強い奴でも解除されたらただの人間や。そこを突かれたらなんも出来んし」
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