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この一瞬を覗いて、
「はああああっ」
盛大すぎる溜息は私の頭の後ろから。
床につかない脚をプラプラ揺らしながら彼を振り返り問う。
「・・・いつまでこの姿勢続けるの?」
「俺が満足するまで」
「永遠にってこと?」
「俺どんだけ欲求不満なの?」
そう言いつつ、彼はまた私を抱きしめる手に力を込めた。
かれこれ三十分はこの調子。いい加減私も姿勢が辛くなってくる。彼は私を愛玩動物か何かと勘違いしているのかもしれない。嫌なことがあったり疲れた時、彼は決まって私を膝にのせて長時間拘束する。
だけど、今回はいつもよりずっと長い。
「・・・何かあったの?」
「え?」
いつもはあまり彼の事情には首を突っ込まない私がらしくないことを言うものだから彼も驚いたみたいだ。だけどこのまま本当に永遠に解放されなかったら困るし、それに、
「・・・ぃつもと、ちょっと雰囲気違う。何かあった?」
「・・・・・・」
彼の力になりたい。と、純粋にそう思ったから。
「・・・なんかさぁ、ままならないんだよ」
「?」
耳元で囁くように、彼はポツリポツリと語り始めた。
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