MrAutumnの深層

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僕はスナックでテキーラしこたま飲んで、これでもかと飲んで。カラオケ歌ってぶっ倒れたとこまでは覚えてる。ボックスシートで酔いつぶれた。 気がついたら閉店で2500円払って。午前5時のススキノの空の下にぶらっと出てよくわからない仲間とさようならをした。薄ぼんやりした太陽光が目にしみた。人の数は多くないが、朝のススキノが鼓動し始めている。 身の回り品を確認した。 カバン。携帯電話。サイフ。ひと通りなくしていなかったことはラッキー。ただ過去に泥酔してもなくしたことはないのだが。 夜のススキノ。飲んだくれていい気分にさせてくれる。時に店の女の子の愚痴を聴いてどっちが客かわからない応対したり。見知らぬ客同士でテキーラ飲み比べして、23杯目で記憶飛ばしたり。マスターに少し安くしてもらったりススキノは楽しく苦を忘れさせてくれるところだ。 早朝のススキノは興味深い。 ゴミ収集車が大挙集合して、宴の残骸。各種ゴミを回収する。とにかく大量。よくぞここまでと感じる。毎日毎日回収されているのだろう。 そこにはおこぼれにあずかろうとこれまた大挙カラスが襲来しており、もう人間を恐れない。ゴミ収集員もカラスを気にしない。 ゴミは手際よく回収されてゆく、やがて収集車は次の収集場所かはたまた処分場へ向かう。あたりは閑散としつつあり。カラスもどこかへ去ってゆく。 ススキノ大交差点に通勤の車がまばらに現れはじめて本格的な朝が始まろうとしている。 そういえば所持金はいくらなのか気になった。 ゾロリと財布を取り出して覗いてみたら2000円入っていた。飯が食えるし地下鉄で帰れる。それともネットカフェで一眠りしてもいいかもしれない。 毎度のことながらこの宴の余韻の瞬間あたりから、空虚感が襲ってくる。 ゴミ収集員の兄さんたちへ感謝の念が湧いてきて。 それに比べて酔いどれの僕はなんなのか。あのカラスどもほど貪欲に生きているかと自問し始める。 バーテンダーの兄さんもキャバクラのお姉さんも大ススキノでがんばってるのに僕はわずかもかなわないなと責めてしまう。孤独が追い打ちをかけて責めてしまうのだ。 こう云う時は牛めしの特盛を流し込むのに限る。 心の隙間も胃腸も温かい飯で埋める計算だ。空虚感は忘れるしかない。常に側にいる感じなのはわかっているのだが。
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