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再び大学に出るようにした。
長瀬陽子も同じサークルに属していたので、彼女が屈託ない笑顔で喋りかけてくるのにいつの間にか煙たがる態度をとるのに彼女も、僕自身も当惑していた。帰り道も同じ方向だったが、なんやかんや理由をつけて彼女と二人きりになるのを避けた。一人で自転車を走らせているとき、少し前までナイト気取りで彼女と自転車を走らせていたのを、自嘲気味に笑っている自分がいた。
いつまでもこんな気持ちでいるのはつらかった。だけどある日、学科の所用で長瀬陽子と二人でひとつのレポートを作成するはめになってしまった。
もう逃げられない……。
夜。
教室では彼女と僕だけになってしまった。
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