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集団ストーカー
「あなたも私のこと監視してるんでしょ!」
ある夜更けのことだった。残業で疲れて帰宅し、軽く夕食を済ませるかとコンビニに買い出しに出かけた時、見覚えのある黒髪の女性と目が合った。
同じマンションに住んでいる工藤さんだった。工藤さんは長い黒髪の女性で、入居したての時に軽く話をして以来、何度かすれ違ったことがあった。
その工藤さんが、何故か鬼気迫る表情で僕のことを攻め立てるのだった。
何となく美人だとは思っていたものの、監視などはしていない。今朝の出勤時にすれ違いはしたが…。突然のことに驚きながらも会話を試みる。
「一体何を言われているのかよく分からないんですが、勘違いじゃないですか?」
「佐藤さんと谷さんとグルになって!今朝も私のこと見てたんでしょ!」
「いやそれはたまたますれ違っただけで……。」
佐藤さん、谷さん、というのはいずれも同じマンションの住民だ。皆お年寄りで、家族と住んでいる様子はなかった。孫くらいの年の差だからだろうか、何かとよくしてくれており、すれ違うと話をする間柄になっていた。
「あの人達がそんなことするわけないじゃないですか。僕はこれで。」
残業で疲れていることもあり、早く休みたかった僕は逃げるようにそこを後にした。
その後も部屋の外で人の気配がしていたが、その日は酒を飲み、無理やり寝た。
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