1.待つ子ども

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 「ねえ、サンタさん、まだ?!!」ケーキをほおばりながら、ぴょんぴょんツインテールを揺らす。 「まだよ~。(あおい)が良い子でお風呂に入って、歯を磨いて、髪も乾かしたら、きっと来てくれるわよ。ああ、クリームちゃんと拭いて……。」と言いつつも、結局、いつものように私はティッシュで優しく拭く。  並ぶ数々のごちそうに、きらきらと輝くな飾りつけ。そう、今宵はクリスマス。朝から一緒に準備している間も、サンタさんのことを私に問い続けていた。本当にサンタさんが好きなんだなと、微笑ましくなる。私も八歳の時は、こんな風にはしゃいでいたっけ。  碧がお風呂に入っている内に、片付けを済ませた。お風呂から上がると、碧はリビングで静かに寝息を立てていた。歯磨き粉が付いたままの口を大きく開けいている。私は、歯磨き粉を拭き、碧をベッドまで運んだ。サラサラの髪をなで、寝顔にそっと手をそえた。「メリークリスマス、碧。」
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