2.待つ受験生(前編)

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 何故よりにもよって、今日なのか。きっと今頃、仲間は遊び倒しているだろうに。 十二月二十五日。世はクリスマスだというのに、俺の気持ちはどん底だ。どうしてかって。 それは、俺が受験した大学の合格発表の日だから、だ。全くとんでもないサプライズを用意してくれたものだ。PCの前でウロウロする。    発表まで残り十分。鼓膜に心臓の音が鼓動する。止まれ……。止まれ止まれ止まれ止まれ!!!!……いや、俺よ。動揺するでない。あんなに頑張ってきたじゃないか。当日も、ベストを尽くした。大丈夫、きっと大丈夫……。  発表まで、残り三分。俺はPCに変な祈りのポーズをしていた。もう楽にしてくれ……。  ポーーン。メールの受信音。俺は震える指で、マウスを押した。  教科書、ノート、参考書。机いっぱいに広げる。一般までまだ時間はある。 絶対にあの大学に行くんだ!
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