原稿用紙一枚分の「待つ」

３．待つ隠れオタク

　ついに、今日が来た。どんなに今日を待ち焦がれたことだろう。今日のために、仕事を頑張って終わらせてきた甲斐があったというものだ。張り切りすぎて、熱で早退した日もあった。栄養ドリンクを買いに、会社とコンビニを何往復したのだろう。ただ、いつの間にか、コンビニ店員と顔馴染みで、世間話をするまでになっていた。
　駅のコインロッカーから、予(あらかじ)め預けていた紙袋を取り出し、身支度も片付けも済ませると、丁度「あ、こっちです！」と声がした。私服姿のコンビニ店員と合流し、目的地へと向かった。
　「みんなーー！！今日は、スペシャルクリスマスコンサートに来てくれてありがとーー！！今夜は、とびっきり盛り上げちゃうから、覚悟して！それじゃあ、いっくよー！！」
会場のボルテージが上がる。
「あーいーちゃぁぁあぁぁぁあんんん！！！」
俺達の楽しいクリスマスが幕を開けた。