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「ここは?」
目をゆっくりと開けると、あたりは薄暗くろうそくの火があたりを仄かに照らしている
「あーあ、やっぱり失敗じゃない
この古文書、胡散臭いと思ってたのよ」
顔を見上げるとそこには魔法使いのような格好をした少女が古そうな本を持って地団駄を踏んでいる
「まあまあ!お?目が覚めたかいー?」
その少女のとなりにふわふわとした毛に綺麗な尻尾をしたキツネのような薄緑色の生き物がふわふわと宙に浮かんでいて、こちらに話しかけて来る
「お目覚めですか?
どこか痛いところはありませんか?」
「いや大丈夫です…それよりここは…」
もう一人、少女が近づいて少年を心配そうに見つめる
少年はゆっくり立ち上がってあたりを見渡す
薄暗いせいかほとんど見えない
だが何かの建築物の中にいることは確かだ
、
「ここは水の大陸…水の王国ラメールから少し離れた竜の神殿です」
心配そうに見つめていた少女がニコリと笑いかける
「竜を召喚しようとしたらまさか平凡そうなたたの人間が現れるだなんて
それも異世界の凡人…
これは召喚失敗ね」
「でも彼をここに呼んだのは僕たちなんだよ?
元の世界に返してあげないと」
オレンジの髪、いかにも魔法使いのような服装
彼女は王宮専属召喚士のイデア
そして彼女と誓約した風の精霊シルフィーである
「え?俺…召喚されたんですか!?」
「ええ、そうよ
本来なら竜が召喚されるのに何故か凡人のあなたが召喚されたってわけよ」
「え!?
待ってくださいよ!
元の世界に戻してください!」
少年はイデアの肩を掴んで強く揺らす
イデアは困惑した顔をせず少年の手を払いのけた
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