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「私だってねぇ!
あんたみたいな足を引っ張る凡人はさっさと元の世界に返してあげたいわよ!
でもあんた…幻獣界の住人じゃないし
見た感じ私たちと同じ人間じゃない
私が返してあげられるのは幻獣界のみなのよ…」
イデアは声を荒げて少年に言った
少年はイデアの話を聞くとガクッと両膝をつく
「そんな…もう戻れないなんて…」
特に彼女がいたわけでもない
友達だって少ないほうだ
それでも両親に会えないし、親友にも会えない
決して未練がないわけではない
「元の世界に戻る方法を一緒に探しましょう?
私もお手伝いしますから」
そういうともう一人の少女クララは安心させるかのようにニコリと笑いかける
「そうね
私だって返してあげたいわ
方法は一緒に探してあげる」
「イデアも責任を感じてるのさ
僕も一緒に探してあげる!」
イデアとシルフィーもこくりと頷く
「ありがとうございます!みなさん!」
少年はゆっくりと立ち上がって頭を下げる
「自己紹介をまだしてなかったわね
私はイデアよ
この子はパートナーの風の精霊シルフィー」
「よろしくね」
「私はここラメール王国の姫クララと言います
よろしくお願いしますね」
各々の名前、職業を自己紹介して仲を深める
「そういえばあなたの名前聞いてないわね」
「えっと、俺は仁
名取仁です」
イデアが少年に訊ねる
少年の名前はジン
燃ゆる炎のような紅い髪と瞳をしていて
どこか育ちの良さそうな少年である
「ジン・ナトリー…
いい名前ですね」
「うん、外国風にいえばそうなりますね」
クララが嬉しそうに名前を呼んではそれを恥ずかしそうにしているジン
「さて、ジン
まずはこの神殿から出て王都メーアに向かうわよ」
「では明かりを…」
クララがそういうと手のひらに光の玉が現れあたりを照らす
ジンたちは階段を上がり竜の神殿を後にした
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