3.本が消える音
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※ 鳳書店の店主は、結局飲まれることはなかった客用のお茶を、すっかり冷たくなっていたけれど、喉を鳴らして飲み干した。 いつからだろう。 いや、知っていた。 ただ、黙っていただけだ。 小さな震動があり、蔵の戸が閉められたのだと分かった。 店主は裏手を見やり、口の中で、声を
掠
(
かす
)
らせた。 「朋久君……」 だがそれに答える
人間
(
・・
)
は、もうそこにいなかった。(了)
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