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木のドアを押す。カランカラン、とベルが鳴った。
「いらっしゃいませ。空いているお席へご案内します」
笑顔の店員に連れられ、窓際の二人席に座る。彼と来る時も大抵ここだった。
「ご注文はお決まりですか?」
「チーズハンバーグ、Bセットで」
「かしこまりました」
頼むのも毎回これだったなあと思い出しながら鞄を向かいの席に置く。最も混むであろうお昼を過ぎて夕方と呼べる時間帯だが、ほとんどの席が埋まっていた。
一限が終わった十時四十分あたりに食堂前で待ち合わせ、二十分に及ぶ別れ話が終わってすぐお昼を食べ、今日は他にとっている講義もないしさっさと帰宅した。溜まっていた洗濯物を洗って干し、コント番組の動画を見てしばらくしてからこの喫茶店に来ることを思いついたのだ。
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