プロローグ

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五木家の別荘は洒落た洋風の造りだが、耐震性に優れ、すこぶる頑丈だった。少しぐらいの天災にはビクともしない。しかし、ここまで雪が深ければ、別荘内と外界とのつながりは完全に絶たれたも同然だった。 山奥深くにひっそりと佇む別荘は今、完全に密室と化していた。メンバーが外に出るのは不可能と言わないまでも、この猛吹雪の中でそれをするのは明らかに自殺行為だった。また、人里離れたこの別荘に、外部の人間が外から侵入してくることも有り得なかった。 何? 暖炉の煙突から侵入出来るだろうって? 五木家の別荘の暖炉は、もう随分も昔にとっくに廃されていた。今ではその跡に最新の暖房装置が設置してある。それに伴って煙突も塞がれてしまい、それは外見だけのダミーと化していた。つまり、玄関や窓を施錠してしまえば、外部からの侵入者は絶対に有り得ない。 そんな第三者の侵入が有り得ない密室状況下で、最初の犠牲者が現れたのだ。
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