第一章 悪戯

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 ようやく荒い呼吸が、激しい鼓動が収まった頃に、ジーグはぽつりとつぶやいた。 「なぁ、ギル。ルキアノスの奴を、一度凹ませてやらないか」 「ルキアノスを凹ます?」  そうさ、とジーグは視線を天井から横に寝ているギルに移した。 「今回の会議しかり、常日頃の行いしかり。あいつは、挫折したり酷い目に遭ったりすることがなさすぎる」 「それはそうだが、彼はいつも正しい。上げ足を取ろうとしても、自分に跳ね返ってくるだけだぞ」
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