第一章 悪戯

19/55
前へ
/109ページ
次へ
 だから、とジーグは体ごとギルに向いた。 「とんでもなく理不尽な目に遭わせてやるのさ。常軌を逸するくらいの」  くっくっく、とギルは喉で笑った。  常軌を逸するくらいの理不尽な目に遭っているルキアノスを想像して笑った。  いつも冷静で、時には冷酷なくらい真っ直ぐな彼が、慌てうろたえる姿が眼に浮かぶようだ。  そしてジーグなら、その巧い手をすでに考えているのだろう。 「面白そうだな」 「お前も協力しろよ?」 「もちろん」  兄弟そろって悪さをしでかすのは久しぶりだ。ジーグとギルは、寝物語にルキアノスを凹ませる作戦を話し合った。
/109ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加