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色褪せた箱庭
しけたクッキー 痛くないサイダー
色の変わった一輪挿し
この部屋はそんな感じがする
大切なもん全部投げ入れて
幸せを作りたかったんだろう
今日も貴方の脱いだシャツを
篭に放り込んだ
赤い屋根が目印のその家で
言葉にならない「好き」を形作る
そーやって二人言葉を捨てた
お互いのこと 分からなくなってしまった
冷蔵庫のなかの 開封済みのサイダー
半分だけ残して 私の分ってことでいいの?
でもそれはただの甘い水
いずれ味も分かんなくなると知ってたけど
それでも空にした
貴方を好きでいた時間
私を見てくれたとき
少し笑うのが好きだった
さぁお砂糖を淹れましょう
少しサイダーで割って そーやってごまかそう
それで今日も笑ってくれませんか?
私のこと見てくれませんか
貴方がいない夜が続いてる
雨のせいでくしゃくしゃのシャツは干せないまま
いつか貴方が帰るその時が
とても恋しい
もう味もしないサイダー
賞味期限はもう切れてるの
そーなったらさ もうさ 捨ててしまおうか?
貴方を好きでいる前
空っぽの箱があったの
そん中に住んでた私の所に
貴方って人は落ちてきた
ビニール袋の中のサイダー 一本出して
「半分こしよう そしたらきっと美味しいはずだ」
そーやって 二人が開けたサイダーの量だけ
箱はいっぱいになってった
瓶の奥の ビー玉は取り出せないままで
そーやって二人の大切なもん入れすぎて
溺れていたのは 私だけだったんだ
貴方を好きでいた時間
私を見てくれたとき
私の冷たい世界は甘く溶けていったの
さぁ お砂糖を淹れましょう
少しサイダーで割って それで最後にしよう
これでもう 笑ってくれないで
私を見ないでください
もう甘やかさないで 歯が痛くなっちゃう
痛くって 辛くって
それがいい 溺れないように痛くていいよ
部屋を空っぽにしよう
栓を抜いて
息をしよう それで開かなかったドアを開けるの
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