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カナメ大将は微笑むと、長身をユラリと揺らして悪魔王サタンの方へと向かった。
ゼンは黒土を抱えて階段を駆け上り、地下鉄を離れた。
さすがサタンの結界は広い。
地下鉄を出ても、黄金色の空は広がり続け、
走っても走っても、人一人として見かけることがなかった。
ゼンは地上に出て十五分は走り続けた。
サタンの結界内ギリギリまで逃げ、
十分な距離を取ったゼンは、ビルの屋上で黒土を降ろした。
戻ったところで決着はついている。そう悟ったのだろう。
黒土は座り込み、文句を吐きながら地下鉄の方角を睨みつけた。
地下鉄では激しい攻防が行われているのだろう。
遠くの方でビルが飲まれていくのが見えた。
ゼンも腰掛け、落胆の息を漏らした。
「数百人は死ぬだろうな……」
黒土は唇を噛み、広がる光景を睨み続ける。
「次はもっと連携を練習してだな……」
「連携が原因じゃねぇ」
「……じゃ、何が原因だ?」
「俺が……弱かっただけだ……」
カナメ大将の呪具が本領を発揮したのだろう。
遠くの方で赤い光線が真上に伸び、金色に輝く雲を割った。
戦闘の終了を告げるかのように、
金色の雲が散っていった。
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