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「ところで皆さん。カナメ大将から遺言を預かっています。
次の大将は黒土タロウを任命します」
任命された黒土が嫌々立ち上がった。
「階級には興味がない」
黒土の拒絶とも言える言葉に一同が騒めいた。
カナメ大将の遺言ということもあり、支持したい気持ちがありながらも、
黒土の態度と普段の横暴さを見ていれば、納得できない者もゼロではない。
黒土が大将の座に就くことで、
退会する者も何人かはいるだろう。
それでも、誰もが黒土の実力だけは認めていた。
カナメ大将の後を継げるのは「黒土しかいない」と分かっていた。
だからこそ――。
「でも、もっと強いヤツと戦えるなら……。受けてやるよ」
その言葉に胸を撫でおろした者は少なくなかった。
アマダ総帥もその一人だ。
「ゼンさん、引き続き黒土大将をサポートしてください」
「……分かった」
次の日――。
ゼンは使徒会の休憩室に入ると、戦闘の準備を行っている一人の使徒の隣に座った。
三十台前半といったところか。無精ひげの使徒だ。
チームワークはまず心の距離を縮める必要がある。
その為には黒土タロウという使徒の情報を集める必要があると考えたのだ。
「黒土大将はどんなヤツだ?」
いきなりの問いに戸惑っているのか、
無精ひげの使徒は困ったように首をひねった。
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