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戦国武将も日本人が知る有名どころくらいは知っていた。 黒土がその時代を生きていた人物かもしれない。 その事実はゼンを興奮させた。 その興奮のせいであろう。 廊下で黒土を見かけた際、つい肩を叩き、 「よッ! 戦国武将! 歴史上の人物!」 と称賛のつもりで口走ってしまっていた。 振り返った黒土の表情は心底嫌そうな――。 例えるなら苦虫を口いっぱいに入れて潰したような顔をして去っていった。 あまり触れられたくない過去なのかもしれない。 ゼンは自室に戻り、大きな身体を丸めて反省した。 次の日――。 ゼンは黒土と一緒に使徒会の任務窓口に来ていた。 日本の使徒会はほぼ全て畳部屋であり、任務窓口も例外ではない。 受付の女性は平机を前に正座して座っていた。 足がしびれないのだろうかとヒヤヒヤするゼンの表情を察したのか、 受付の女性がニッコリとほほ笑みを返してくれた。 ゼンは頭を掻いて黒土の隣に座る。 使徒会で発行される任務は様々だ。 任務難易度は最低ランクから数えてD・C・B・A・S・SS・SSSの7種類。 最高難易度の「SSS」は大将クラスしか受けられない。 階級にあまり興味がない黒土がすんなり大将を受け入れたのは、 このシステムがあるからだ。     
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