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「信じられなくなった。それってつまり……。 『信じたかった』ってことだよな。合ってるか?」 「……ウザ」 機嫌を損ねたか。 それ以上、返答がない黒土に飽きたゼンは、調査報告書に目を通した。 今回のターゲットは――。 人間を狩って、肉や皮を使った「人形」にしてしまう。 使徒会史上、最低最悪の使徒。 人形化した人間を操り、戦う呪具の特性から通称「カラクリ」。 使徒として生き過ぎて狂ってしまった使徒だ。 永劫、罪を苛む自殺の痛みと苦しみの中で狂う使徒は少なくない。 資料を読んでいたゼンの目が「ある表記」で止まる。 「カラクリ」は元使徒会の人間であり、 カナメ元大将の部下と記されていた。 ここ一年はカナメ元大将が追っていた事件らしい。 カナメ元大将は部下の不始末を拭う為「カラクリ」を追っていた。 カナメ元大将がサタンと戦う際、黒土に何かを託そうとしたが、 まさかこの事件のことを……。 ――と、顔を上げたところで妙なことに気づいた。 ヘリに搭乗していた使徒会員の一人が、 綺麗に畳まれた朱色の着物を黒土に渡したのだ。 黒土は渡されて直ぐ、その場で黒衣を投げ捨て、服まで脱ぎだした。 「バッ! おまッ! なんちゅーことを!」 「男同士だろ。気にするな。逆に気色悪い」     
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