2/2
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
「ハハハッ! 黒土准将にいきなり突っかかるとは……頼もしいですね」 黒土の視線が冷たくなっていくにも関わらず、アマダは笑うのを止めない。 それどころか、お腹を抱え、少し前かがみになっていた。 「それにしても……女の子……ふふ……うふふぅ……」 「……」 黒土の冷ややかな目が絶対零度に達した頃、 アマダが咳払いして姿勢を正した。 「しかし、ゼン殿。お守というと語弊があります。黒土タロウ。彼は現代使徒会の至宝なのです」 「強いってことか」 「そうです。ですが、弱点があります。彼は独りでしか戦えないのです。 せっかくの至宝も磨かなければそれ以上に輝くことはありません」 黒土は隣に立つ大男へ嫌疑の目を向けた。 「本当にこの大男と組めば、もっと強い敵と戦わせてくれるのか?」 「はい、約束は守ります。ゼン殿、宜しく頼みますよ」 重要任務と聞いていたゼンは胸を張って「お任せを」と応えるが、 隣に立つ黒土は退屈そうで、欠伸で口を押えていた。 これが本部で一、二を争う使徒なのか――。 ゼンは失望と落胆を胸に「面倒な任務だ」と内心でため息を吐き、 頭を下げてその場を後にした。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!