1/2
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ

四十年前――。 当時、白戸ゼンは使徒会北方支部にて、大将として悪魔退治に精を出していた。 ――が、ある極秘任務を受け、一時的に東京本部へ訪れていた。 東京好きのゼンにとって、五度目の上京はテンションが上がったが、 観光に来ている訳ではない。 襟を正し、神妙な面持ちでジェット機を降りた。 地上に待機していた東京本部の使徒たちが一斉に頭を下げ、歓迎の意を示す。 北方支部でのゼンの階級は大将。 北方最強の使徒を歓迎する体勢としては自然であるものの、 百人近い使徒が頭を下げる様は圧巻である。 自然とゼンの気持ちも引き締まった。 石畳を渡り、黒塗りの屋敷に上がる。 使徒会総帥の部屋で、総帥アマダに膝を着き、挨拶したところで、 丁度、今回の極秘ミッションの中心人物が現れた。 マントのような黒衣と後頭部で結った白髪、 腰に下げた日本刀を揺らして登場した男は――。 黒土タロウだ。 階級は准将と聞いている。 大柄なゼンの隣に並ぶと、小柄な身体が一層映える。 「お守とは聞いてたが……まさか女の子とはなぁ」 「あ?」 一触即発。 いきなりの感じの悪い雰囲気を割るように、 アマダ総帥が高笑いを浮かべた。     
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!