12人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
一
四十年前――。
当時、白戸ゼンは使徒会北方支部にて、大将として悪魔退治に精を出していた。
――が、ある極秘任務を受け、一時的に東京本部へ訪れていた。
東京好きのゼンにとって、五度目の上京はテンションが上がったが、
観光に来ている訳ではない。
襟を正し、神妙な面持ちでジェット機を降りた。
地上に待機していた東京本部の使徒たちが一斉に頭を下げ、歓迎の意を示す。
北方支部でのゼンの階級は大将。
北方最強の使徒を歓迎する体勢としては自然であるものの、
百人近い使徒が頭を下げる様は圧巻である。
自然とゼンの気持ちも引き締まった。
石畳を渡り、黒塗りの屋敷に上がる。
使徒会総帥の部屋で、総帥アマダに膝を着き、挨拶したところで、
丁度、今回の極秘ミッションの中心人物が現れた。
マントのような黒衣と後頭部で結った白髪、
腰に下げた日本刀を揺らして登場した男は――。
黒土タロウだ。
階級は准将と聞いている。
大柄なゼンの隣に並ぶと、小柄な身体が一層映える。
「お守とは聞いてたが……まさか女の子とはなぁ」
「あ?」
一触即発。
いきなりの感じの悪い雰囲気を割るように、
アマダ総帥が高笑いを浮かべた。
最初のコメントを投稿しよう!