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二
翌日。
白戸ゼンは黒土と最初の任務地に向かった。
「東京の地下は複雑だな」
ゼンは地下に向かう階段を降りながら、黒土の小さな背中に問いかけた。
コミュニケーション力を買われて黒土のお守りを頼まれた自覚はあったので、
その役目を果たさんと努めているのだ。
「……」
「ハハハッ! そんなに警戒されてもなぁ。兄弟、気楽に行こうぜ!」
ゼンは持前の明るさで黒土の背中を叩いた。
――が、黒土からは鋭い視線が返ってくるだけである。
ゼンは頭を掻いて話題を変えた。
「ところでおたくの大将は不在なのか?」
「……カラクリって事件を追ってるってさ。俺もそれ以上は知らない」
「ふーん」
ようやく返答があったものの、それ以上話は膨らまなかった。
無言で歩いていると、十分程経ったところで、指定の地点に辿り着いていた。
どこまでも続く広い階段は、まるで地獄へ続いているようだ。
暗く、湿っている。
遠くには普段は電車が通る線路が見えた。
「ここに魔王クラスが? 速攻で倒さないと犠牲者100人じゃ済まねぇぞ」
悪魔の張る結界のせいで人々は消えてしまっているが、
普段は何百人という人間が行き交っている場所であろう。
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