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翌日。 白戸ゼンは黒土と最初の任務地に向かった。 「東京の地下は複雑だな」 ゼンは地下に向かう階段を降りながら、黒土の小さな背中に問いかけた。 コミュニケーション力を買われて黒土のお守りを頼まれた自覚はあったので、 その役目を果たさんと努めているのだ。 「……」 「ハハハッ! そんなに警戒されてもなぁ。兄弟、気楽に行こうぜ!」 ゼンは持前の明るさで黒土の背中を叩いた。 ――が、黒土からは鋭い視線が返ってくるだけである。 ゼンは頭を掻いて話題を変えた。 「ところでおたくの大将は不在なのか?」 「……カラクリって事件を追ってるってさ。俺もそれ以上は知らない」 「ふーん」 ようやく返答があったものの、それ以上話は膨らまなかった。 無言で歩いていると、十分程経ったところで、指定の地点に辿り着いていた。 どこまでも続く広い階段は、まるで地獄へ続いているようだ。 暗く、湿っている。 遠くには普段は電車が通る線路が見えた。 「ここに魔王クラスが? 速攻で倒さないと犠牲者100人じゃ済まねぇぞ」 悪魔の張る結界のせいで人々は消えてしまっているが、 普段は何百人という人間が行き交っている場所であろう。     
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