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「じゃあ、触っていい?」
じゃあ次いこうか、みたいな軽さで当たり前のように言われて、俺は思いきり顔をしかめた。
「いや、だからさっきからなんだよそれ、意味不明なんだけど」
たぶん後ろ首のほくろのことを言っているんだろう、と思うと怒りが湧き上がってくる。
からかってるつもりか?
馬鹿にするのもいいかげんにしてくれ。
俺だって好きでこんなにほくろだらけになったわけじゃないんだ。
「ていうか、触らせてとか、気持ち悪りいんだけど」
「でも、触りたいんだ」
「いや、だからさ、なんで?」
「触りたいから」
だめだ、会話が成立していない。
どうやら変人という噂は本当だったらしい。
行動だけじゃなく思考まで完全な変人だ。
「お前さあ、触りたいから触るって、それ、痴漢と一緒だろ」
呆れ返って、思わず諭すように言うと、真山はもっともらしい顔で「確かに」と頷いた。
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