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「さっきお前、いきなり俺のこと触ったよな? ああいうの、めっちゃ失礼なんだからな? 分かってる?」
「うん、分かるけど、でも、気づいたら手が出ちゃってたんだ。いきなり首筋が見えたから興奮しちゃって。ごめん」
ぞぞっ、と背筋が寒くなった。
興奮って……マジで気持ち悪い。なんで男が男の首見て興奮するんだよ。まさかホモか?
別にホモだろうがカモだろうがなんでもいいが、いきなり触られるのだけは勘弁だ。
びっくりするし、不気味すぎる。
「悪かったと思ってるんなら、もうやるなよ」
分かった、ごめん、と返ってくると思っていた。
しかし、真山ははっきりと「やだ」と答えた。
「触りたい。お願い。だめ?」
捨てられた子犬みたいな瞳。
いやいや、そんな目したって俺は情にほだされたりしねえぞ。
「………い、い、わ、け、ねえだろが!」
俺は声を押し殺して凄んだ。
真山がしゅんとしたように肩を落とす。そのまま黙り込んだので、てっきり諦めてくれたのかと思ったら。
「じゃあ、深見が俺に触られてもいいって思ったら教えて」
ぱっと顔を上げて、こりゃ名案、とでも言いたげな朗らかな笑顔で真山は言った。
俺の頭の中でまた、ぶちっと何かが切れる音がした。
「一生ねーよっ!!」
休み時間の教室に、俺の初めての怒鳴り声が響いたのは言うまでもない。
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