ほくろ

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小さい頃から、ほくろが多いことがコンプレックスだった。 顔だけでも、遠目にわかる大きさのほくろ十個以上あり、もちろん身体には数えきれないほどたくさん散らばっている。 しかも、男のくせに母親に似て、肌の色がやけに白いせいで、さらにほくろが際立つのだ。せめて色黒だったら多少はほくろの存在感が薄れただろうに、と思うが、そればかりはどうしようもない。 日焼けしようにも、太陽に当たると肌が火傷みたいに真っ赤に腫れ、その後はほとんど黒くならずにまた色白に戻ってしまうので、ただ痛い思いをするだけなのだ。 特に顔は、右目の下と左の頬の真ん中、唇の横に大きなほくろがあり、昔から格好のからかいの的だった。 小学生の頃は、ほくろ男やらほくろ大魔王やら、恥ずかしいあだ名をつけられたことも一度や二度ではない。 そういうからかいを軽やかに笑い飛ばしたり、平然と受け流したりできるタイプならよかったが、あいにく俺はそんな社交性も強靭な精神も持ち合わせていない、つまらない人間だ。 軽くからかわれただけなのに表情を強張らせて硬直し、その場の雰囲気を白けさせてしまったことは数えきれない。
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