その3

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 高みに行く原動力になったんだと思います」 『どうしてプロ野球選手になれたと思うか?』という質問には  卓也らしい生真面目なコメントが綴られていた。   その後は、『今後の抱負は』や、『目標とする選手は』? などという質問が続き、 最後の、『印象に残る指導者は』には、 「やはり、名邦の監督の坂下監督でしょうか、 野球の厳しさを叩きこまれました、  あとは、スポ少の時の監督のヤマケンさんですね、  野球は素人だったらしいんですが、ある意味僕の原点かもしれません」 「ヤマケンさん・・・」  僕は無意識に呟きながら、遠い記憶を辿っていた。 「マスター、この中スポもらっていっていいです?」 「え? まあ、もうあと三〇分で閉店だし、お客さんも多田先生だけだから、  イイよ、そんなくたびれたのでいいんなら、どうせ廃品回収行きだしさ」 <続く>
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