その 35

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「多田先生、いつまで所さんとお喋りしてるんです、  早くしないと、遅刻しちゃいますよ」 加奈にそう言われ、 「所さん、じゃあ僕らはバスで行くので、  最初のサービスエリアで・・」 「了解、僕はカズさんの車に乗せてってもらいますんで」 いつものように、 バスは僕が自らハンドルを握り、 カズが所さんと佐々木モータスの社長を乗せ、車を出してくれ、 関東遠征は、珍しくコーチ3人が揃い踏みとなった。 「ずっと、一人で運転で大丈夫ですかあ? 多田先生」 「大丈夫だって、休み休み行くからさ」 加奈は心配をして、声を掛けてくれた。 「こんな、バイタリティーあるなんて、  でも、そう見えないとこがまた凄いですよね」 「褒めてんのか、けなしてんのかわかんないね藤崎先生は」 後ろで、思わず三原のぞみが、 「フフフ」   と、笑い声を挙げ、 意を決したように呟いた。 「私、彼氏にするなら絶対多田先生みたいなタイプ」 「なにーー、三原さん、大胆告白じゃない??」 加奈が目を丸くして、突っ込むと、 「だって、私をこの場所に導いてくれたんだもん、  多田先生と、あの時、コンビニで会ってなかったら、  きっと、ここにいないと思うもん」 「なんか、妬けちゃうなあーー」 加奈は、頬を丸く膨らませながら、そう言った。
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