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「い、い、いや、校長、そうおっしゃられても、
私は野球経験のない一部長の身であり・・」
「多田先生、あなたがそんな他人事みたいな事言ってどうするんですか?
もう五年も野球部長を務めてきて」
「で、でも、五年前に前任の野球部長の宮地先生が
夏の大会直前に脳梗塞で急死をされ、
臨時でベンチに入った私がそのままずるずると・・・」
「兎にも角にも、森田監督が今年の成績の責任を取り、学校を去ると辞表を 持ってきた今、
後任の監督を早急に探さねばならんのですよ」
「えーーっ、森田監督が辞表?」
「本当なのですかそれは?」
「本当です、まあ森田監督からも『三年で結果を出しますので』
と言われたその三年後がこの成績なので、
薄々そうするんじゃないかと、予想はしていたんですがね」
「隣の県の甲子園常連校で十八年も監督をされていた森田監督の招聘には、
それなりのお金も動かしたというのに・・・」
田紋校長はことさらに苦虫を噛み潰した。
そして、
「我々は我々で、外部の候補者をあたるので、
多田君、君は君で野球部OBを中心に適任者がいないか
早急に調べるよう に、いいね」
「わ、わ、わかりました」
僕は田紋校長に気圧され、そう言うのがやっとだった。
<続く>
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