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土曜日の夜、タイキとカズと僕の三人で
駅前の焼肉屋『あみや』でテーブルを囲んだ。
「ところで何? 多田ちゃんから誘うなんて珍しいやん」
すっかり、美容師らしく今時の流行りの髪型を
ムースで部分的に立たせ味付けしたタイキが、
生ビールをあおりながら言うと、
「そうやて、多田ちゃん、こんな駅前で呑んでたら、
生徒の父兄とかに遭遇すると、やらしいんやないん?」
大きな衿のストライプのYシャツの胸ポケットに
派手なブルーのネクタイを突っ込みながら言うカズも、
すっかりいっぱしのアパレルマンらしくなってきていた。
「いや、実はさあ・・・監督の事で・・・」
「監督??」
「森田監督が辞表出してさ」
「へーーっ、もうなんや、まあ、またかの一回戦負けやもんね・・」
「見切りつけたってことやないの?」
「でも、あれやら、あんだけ派手に招いて、
俺らの先輩らとも揉めて入ってきてだから、この後大変やろ、なあーカズ」
「そうやて、あんとき野球部のフォローしてた先輩たち、
どえれー怒っとったて、田紋のクソ校長って」
「そうなんだよ、でもさ、校長から、
『OB中心に誰か引き受けてくれる人いないかあたれ』なんて言われちゃっててさ・・・」
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