その2

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「それで、俺たち呼んだわけ?」 「多田ちゃん、なんかサラリーマンみたいやんね」 「聖職者は毅然としとらなあかんやーん」 「多田ちゃんは聖の字が、違う字の方じゃね、りっしんべんの」 「アハハハ・・」 「もう、二人とも真剣に考えてよー」 「まあ、今更いないんじゃない、  もう何年もシード校はおろかベスト16すら入れてないし、  あの森田監督が全寮制にして三年かけてもダメやったんやし、  でもって、校長は、メッチャクチャうるさいし、  それに今日びの親たちは、我が子をレギュラーにしろと  現金忍ばせた御土産持参で家に押しかけたりするらしくてさ、  逆にOBはその辺の事情よく知ってるから  余計、なり手なんてないって」 そんなタイキの言葉にかぶせるように、カズも続ける 「OBもそうやけど、外部は外部で、  俺らの県もここ数年は強豪校の四強が盤 石で、  リトルとかのいい選手はその四校か、県外の強豪私立に  スカウトされて行くかで、  聖潤にはいい選手は集まってこないし、下手に引き受けて、  結果が酷いと自分のキャリアにも傷がついてしまうからね  森田さんだって噂では、株に夢中になり大損して、  その穴埋めの金欲しさで引き受けただけで、  『あのチームじゃ甲子園なんか到底狙えるわけない』って、     
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