その3

1/5
47人が本棚に入れています
本棚に追加
/288ページ

その3

それからの2週間は 我ながらよく動いた 僕自身もよく知るコーチを務めてくれたOBや 試合の時などに、 差し入れなどをしてくれたOBの家を何軒か回った・・・ が、 誰もが、事情をひとしきり説明した後は 「多田先生に愚痴っても仕方ないんだけどさ・・・」 と、気を遣って前置きはしてもらえたけれども、 田紋校長の理不尽な当時の扱いやらの憤りを吐き出し、 「そこをなんとか・・・」 と食い下がると、 判を押したように、 「無理無理、他をあたってよ」 と手を振られるのが関の山だった。 今夜だって、 ずっとコーチを務めて頂けていた 佐々木さんの工場を訪ねた際も、 「あのね、たびたび自分の仕事も早仕舞いまでして、まあそれも、  自営業のモータースだから出来たんだけど、そうまでして、  聖潤の野球部をフォローしてきたのに、  甲子園常連の名将が来て、  全寮制にするからもういいですって追い払ったくせに、  それを結果が出ないからって今更・・・  俺にだってプライドやメンツはありますよ、  まあ、あんたにゃ罪はないんだろうけどさあ、 無理無理、他をあたってよ、  まあ、でもいないと思うよ、  OBってったってみんな仕事は持ってるだろうし、     
/288ページ

最初のコメントを投稿しよう!