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その傍らに血刀を下げた若者が一人、膝間づき座礼を取って音声を発する。
「畏れながら申し上げます」
一人、尚書令が立ち上がり返答する。
「許す」
「御前を不浄なる血で汚し奉りし罪、伏してお詫び申し上げます。玉座に巣食い帝国の栄光を穢し財を損ない人民に徒成す道化の罪状いよいよ許しがたく、勅命賜りし討伐の儀、ただいま果たし奉りてございます」
「大儀であった。魔人を見事討ち倒せしその力見事である。褒美を取らす」
侍郎が一人、道化の体に歩み寄りその懐を弄って紫に輝く宝玉を取り上げる。それとともに道化の体からは光が失われ、蠢いていたその体も一切の動きを失った。
尚書令が詔書を読み上げる。
「臣、貞心了。見事勅命を果たせし汝の功績大なるに、詔により宝具を賜る。永命の玉である。伏して拝領仕るがよい」
顔を伏し差し上げる心了の両手に、道化から取り上げられた宝玉が差し渡される。
「永命の玉は若命を保ち死を遠ざけるまごう事なき神宝である。その霊徳ゆえに魔人が帝国に徒成すこと幾星霜となったが、その命脈を討ち果たせし汝にこそ相応しいとの思し召しである。栄誉にふさわしき働きをもって、報恩と成すがよい」
「はっ」
心了の声には使命を全うした誇りと気迫が充溢しており、並み居る廷臣たちをも唸らせる。
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