昏海/クライウミ

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自分を正しいと言って(はばか)らない。 怒りを(しず)めると、突然そいつは、おれの頬を両手で捕まえて、 「ごめんなぁ、おまえホントかわいいわ」 と小声で力説した。 おれは、泣きたくなった。 こいつの言葉を否定しないと、自分も父親を辱めたことになる。 なのにおれは、響也の言葉、嬉しかった。 また、響也に触れて欲しい。 次第に募ってくる気持ちを、抑えられなくなってくる。 それはすぐに叶えられた。 響也の部屋で。 スマホで、流行りのゲームやりながら。 無言で響也を見つめたら、響也はスマホを置いて、無言でキスをしてくれた。 恐る恐るキスを返すと、響也はおれの髪と頬を撫で、制服の上から身体に触れた。 あとは互いが果てるまで、吐息と舌を絡ませ合い、夢中で素肌を感じ合った。 響也から伝わる全ての感触が耐えられない。 気が狂いそうだった。 荒い息遣いも、衣摺れの音も聞こえなくなって、静まり返った響也の部屋。 やっと俺は、かすれた声を発した。 「どうして?」 その問いに、響也はただ笑みを向けただけだった。 横たえていた体を気だるく起こし、もう一度訊ねる。 「なんで。なんでおれと、仲良く、してくれるの?」 「亮の中の、人口密度が低かったから」 変な言い回し。     
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