小説家さんとバンドマンくん ３話

小説家さんとプロット

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　酸性の雨が降り注ぐネオン煌めく夜の街の商店街。人で溢れるその通りをレインコートを目深に被った少女が人と人との間を縫うようにするすると歩いていく。
　もう少しで店に着く。そう気を緩めたところで目の前にすっと腕が伸びてきてバーチャルでリアルなデート体験を。と聞き慣れた言葉が聞こえてくる。
　よく見ると目の前に出された手には趣味の悪いピンク色の広告が入ったティッシュが握られている。
　こうするのが一番面倒が少なくていいか。
　少女はそう判断し面倒そうにそのティッシュを受け取るとその人型は視線を後ろから歩いてきた男のほうに向け、先ほどと同じ言葉を繰り返しながら離れていった。
「リアル、ねぇ」
　思わずこぼれてしまったようにそう呟くと少女は何も無かったかのように再び歩き始め、古びた看板がかかった店の軒下でレインコートを脱ぐとそれを軽く振って水滴を払ってから店の扉をくぐっていった。