小説家さんとプロット

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********  昨日より時間は早いけれど、昨日と同じ薄暗い公園。  なるべく平静をよそおってその入り口を通り、彼がいつも本を読んでいるというベンチに向かうと先に来ていた大河さんがこちらに気付いて立ち上がる。  立ち上がるということは座って話すほどの用では無いということなのかな。そのことに少しがっかりしていると彼がこちらに近づいてきて両腕を広げる。  何だろう。そう不思議に思った次の瞬間には視界が真っ暗になって、体をぎゅうと抱きしめられていた。 「えっ、え?」  前が見えない。体を包む彼の体が暖かい。  何で、どうしてこんなことになったんだっけ?私はただ呼び出されて公園に来ただけのはずで。 「ど、どうしたんですか?」  何かあったのかもしれない。そう思って問いかけるが大河さんはもう少し。と呟くと私を抱きしめる腕に更に力を入れる。  こういう時、どうしたらいいのか分からない。腕の上に彼の腕があるから手もあまり動かせないし。  それより心音、大丈夫かな。自分ではすごく音が大きいように聞こえるけれど、変に思われたらどうしよう。image=512272164.jpg
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