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魔龍の洞窟
残党狩部隊本隊を襲撃する為に自軍の戦力拡充を目指し発見した惰眠を貪るフォレストドラゴンの下を訪れたアイリスとミリアリアを迎えたフォレストドラゴンは永き齢を重ねた末に魔龍となっており、魔龍となっていたフォレストドラゴンの出迎えを受けたアイリスとミリアリアはここに至るまで経緯をフォレストドラゴンに対して説明した。
……やはり、長生きはする物だな、実際に魔王を目にする事が出来、その上にその魔王が捕虜となった森の民達を救おうとしているとはな、これほど面白い話を聞けるとは思ってもいなかった……
アイリスの説明を聞いたフォレストドラゴンは感慨深げに呟き、その後に黄金色の蛇眼でアイリスを見詰めながら言葉を続けた。
……しかし、追手から護る為にダンジョンを造り、捕らわれておる森の民達を救う、随分と森の民に入れ込んでおるな、魔王よ……
「あら、あたしが入れ込んでいるのはこの女(ひと)だけよ、ダンジョンを造ったのも彼女を追手の屑どもから護る為だし、捕虜になってるエルフやダークエルフを救出するのも捕虜が彼女の仲間だったから、狐人の元お姫様達を助けるのはそのついでよ」
フォレストドラゴンの問いかけを受けたアイリスは堂々とした口調で応じながら傍らに立っているミリアリアの肩に手を伸ばして抱き寄せ、ミリアリアがアイリスの言葉と唐突な行動に頬を火照らせているとフォレストドラゴンは愉快そうな口調で声をかけてきた。
……なるほどな、確かに基本的な行動理念は魔王その物だな、しかし、それほどまでに彼女を気に入ったのなら、有無を言わさず力づくで己が物にせぬのか?……
「そんな事して彼女を手に入れても何の意味も無いじゃない、身体を汚し心を壊して己の所有物にする、そんな手段で彼女を手に入れられたとしてもそれじゃあ彼女を手に入れたとは言え無いし、何よりもそう言う無粋な行動ってあたしは大嫌いなのよ、だからなるべく彼女が嫌がる事はしないつもり、もちろん彼女が嫌がる手段であってもその手段でしか彼女を護れられないとしたら、あたしは躊躇う事無くその手段を取るわ、例えその事で彼女から罵倒され、拒絶され、離れられたとしてもね」
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