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これは、優れた才能を持ちながらも夢敗れた人生の敗者の物語だ。
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大河の部屋のポストに入っていた一冊の黒い本。誰が入れたのかも分からない、タイトルも作者さえも書かれていない本を開くと、真っ白なページにそれだけ書かれていた。
なんとなく開いてしまったが......。
(誰かの嫌がらせか?
何のつもりか分からないが、バカにされている)
まさに今の自分の状況を一言で示したものを目にし、大河は悔しさが込み上げてきた。
今年26歳になった大河は、十代の頃から俳優になることを夢見ていた。
ルックスも良く、元から演技の才もあったが、それに加えて努力を惜しむこともなかった。アクションもこなせるようにアクションの勉強も、もちろん演技のレッスンも欠かすことなく続けてきた。
どんな役でもこなせるカメレオン俳優となれるよう、大河は努力を続けてきたが......。
しかし、大河は好機に恵まれなかった。
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