人生の敗者の物語

2/8
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
***   これは、優れた才能を持ちながらも夢敗れた人生の敗者の物語だ。 *** 大河の部屋のポストに入っていた一冊の黒い本。誰が入れたのかも分からない、タイトルも作者さえも書かれていない本を開くと、真っ白なページにそれだけ書かれていた。   なんとなく開いてしまったが......。   (誰かの嫌がらせか? 何のつもりか分からないが、バカにされている) まさに今の自分の状況を一言で示したものを目にし、大河は悔しさが込み上げてきた。 今年26歳になった大河は、十代の頃から俳優になることを夢見ていた。 ルックスも良く、元から演技の才もあったが、それに加えて努力を惜しむこともなかった。アクションもこなせるようにアクションの勉強も、もちろん演技のレッスンも欠かすことなく続けてきた。 どんな役でもこなせるカメレオン俳優となれるよう、大河は努力を続けてきたが......。 しかし、大河は好機に恵まれなかった。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!