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それらのモヤモヤが、ぐじゃぐじゃに混ざって私の心の中に居座るのだった。
*
モヤモヤしている間にも、本の貸し出し期間の一週間は着々と過ぎていく。
せっかく目当ての本が自分の手元にあるというのに全然集中できそうにないけれど、全く読めずに返却期日が来てしまうのはもっと嫌なので私はまだ読めずにいた一冊の本を読むことにした。
「……宮間さん」
私が本の世界に没頭している時、誰かに呼ばれた。
「え?」
顔を上げると鎌谷くん。
「ごめんな、邪魔して。その本に、何か挟まってた?」
「……ああ、うん」
どうして鎌谷くんが?
だって、鎌谷くんには手紙が挟まっていたことは話してないし、二通目の手紙にも鎌谷くんじゃないって書いてあったのに。
「浜松から聞いたんだ。俺も貸出し前に点検した時にはなかったんだけど、その後にその本を触った奴がいて、もしかしたらそいつのかもしれない」
突然の事態に理解が追いつかない。
つまりは、鎌谷くんはあの差出人不明のラブレターの送り主を知っているってこと!?
「──え?」
そう理解した時には、鎌谷くんにはその有力候補となる人物の名前を告げられていた。
鎌谷くんから有力候補の名前を聞いた私は、放課後、逃げられる前にその名前の人物に声をかけた。
「有田、ちょっといい?」
「……あ?」
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