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有田は相変わらず素っ気ない。
だけど、この有田の不審な態度も私がこの一冊の本を借りた時からだった。
元々有田はそんなに根を持つタイプでもないし、一通目の時も二通目の時も、私があの手紙を受け取った時点で近くにいた。
有田が私を、なんて信じられない。
でも、鎌谷くんから告げられた有力候補に名前が挙がってから考えてみると、確かに怪しいのだ。
不審そうに私を見る有田の顔の前に、私は怒りに任せて二通の手紙と一冊の本を突き出しだ。
「これ、あんたの仕業?」
「……知らねぇよ」
明らかに動揺してる。怪しい。
私は、まだ机の上に出したままになっていた有田の国語のノートを勝手に取って、中を見る。
「おい、何やって……!」
「筆跡も一緒」
「何の話だよ。俺はそんなラブレター知らねぇって」
「何でこれがラブレターってわかるの?」
「それは……」
私が筆跡鑑定したのは、二通目の方の手紙。
一通目のラブレターは宛名しか書かれてない封筒に入れたままだというのに、どうして有田はこの中身がラブレターだとわかったのだろう?
「それって、有田がこの手紙の中身を知ってるから、だよね?」
有田は昔から少し抜けているところがある。
どうやら今回は有田のそんなところが、決定打に繋がったようだ。
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