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有田は観念したように、深いため息を吐き出す。
「ごめん。ちゃんと話すから。とりあえず場所を変えよう」
今すぐにでも有田のことを責め立てたかったけど、さすがにまだみんなの残る教室で話す内容ではない。
そう思い、私は有田の後ろに続く。
有田が足を止めたのは、人気の少ない屋上へと続く階段の踊り場だった。
私は怒鳴りこそしなかったものの、そこに全ての怒りを込めて、有田にぶつける。
「どうして……? 酷いじゃん。私のことをからかってるの?」
「ちょっと待て、誤解だ」
「だってそうじゃない! 他に好きな人だっているのにこんなラブレター寄越して、二通目の手紙はこのラブレターのことは忘れてだなんて、なかったことにしようとして」
目頭が熱くなる。
こんなにも辛くて悲しいのは、勝手で最低な奴だとしても気さくで話しやすい有田のことが好きだったからなんだ。
何でこんなタイミングで気づくの……。
「だから誤解だって!」
「何が誤解なのよ!」
「俺が好きなのは、今も昔も宮間だけだから」
「は……?」
真っ直ぐに、有田に見つめられる。
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