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「好きです……?」
それだけが書かれた、シンプルな白い横書きの便箋。
好き、って何? 私のこと……?
動揺で早まる鼓動に急かされるように、もう一度さっきも見た封筒の表面を見やる。
宮間夕さま。
そこにはやっぱり横書きでそう書かれている。
……私の名前だ。
筆圧の強い力強い文字は、男子の文字のように見える。
だけど、その封筒の裏面には何も書かれていない。
この白い封筒は、たった今図書室から借りて来たばかりの一冊の本を開けると同時に、ひらりと足元に落ちたものだ。
図書室で借りて来たばかりの本の中に手紙が入っているなんて、初めてのことだった。
宛名の名前が私だったこともあり、何のためらいもなく中を見ちゃったけど、これってラブレターだよね……?
そう認識した途端に、胸がきゅううっとなる。
でも、一体誰が?
今まで意識したことなんてなかったけれど、この学校の中に私のことを好きだって言ってくれる人がいるってことなの……!?
そうだとしても、好きですの文字だけじゃあ、一体誰がなんて想像つかないけれど。
「よぉ、宮間」
考え込んでいるところで、突然背後からかけられた男の人の声にドキリとする。
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