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有田の顔もまともに見ることができずにそう口走ると、私は慌てて図書室の前の廊下を駆け出した。
*
せっかく目的の本を借りられたというのに、私の心境はそれどころではなかった。
目の前の机に置かれた一冊の本を開くと出てくる、私宛の白い封筒と“好きです”の四文字の書かれた白い便箋。
一体、誰がこんなこと……。
本に挟まったラブレターが私の元へ来た翌日。
それとなくクラス中を見回してみるけれど、本当にこの中に私にラブレターをくれた人がいるのかと首をかしげる。
そもそもラブレターを隅々まで見ても、差出人を推測できそうなものは何もないのだから、同じクラスの人だとも限らないんだけれど……。
だけど、これをここに挟んだってことは、私がこの本をこのタイミングで借りるってわかってた人っていうことだよね?
だって本に手紙を挟んだところで、私以外の人がこの本を借りてしまったら、この手紙は私以外の人の手に渡ってしまうのだから。
そう考えると、必然的に私宛の手紙を本に挟んだ人物が絞られてくるんじゃない?
私はそのことに気づいて、改めて今回私がこの本を借りることを知っていた人物を思い浮かべる。
すぐに思い浮かんだのは、図書委員の鎌谷くん。
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