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私の頭を一杯にさせている差出人不明のラブレターが落ちたのかと思いきや、違った。
それは、破ったノートを二つ折りにしたものだった。
そこには差出人不明のラブレターと同じように、『宮間夕さま』と書かれている。
戸惑いながらも、それを拾い上げて中が見えるように開く。
『ごめん、昨日の手紙のことは忘れて。
俺は浜松でも鎌谷でもないから。
浜松のことも鎌谷のことも考えないで』
何これ……。
まさか、昨日の差出人不明のラブレターの送り主がこれを私が知らないうちに本に挟んだというのだろうか。
でも、一体いつ?
思い当たるとしたら、さっき授業の後にこの本を机の上に出したままお手洗いに行った時……?
もうクラスメイトはほとんど帰ってしまっていて、目撃情報は得られそうにない。
「あ、有田……」
そのなかでも、比較的話しかけやすい人物がちょうど学校指定の背負い鞄を肩にかけているのが視界に入り、私は席を立った。
「何?」
何となく素っ気ない有田。
昨日、あんな態度を取ってしまったことをまだ根に持っているのかな……?
「昨日は変な態度取ってごめんね。さっき、私がいなかった間、私の席に近づいていた人っていた?」
「あー……」
有田は少し天井を仰ぐも、「さぁわかんね」と淡々とこたえるだけだった。
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