騒乱

4/4
前へ
/13ページ
次へ
私が旅支度する余裕もなく叛乱の狼煙はすぐ上がる。 友人と出会った2日後の朝激しい人々の声で目が覚めた。部屋の窓から街を見下ろすと、各所で煙が上がり、遠くの新平民街方面は煙でかすんで見えない。王城方面から騎兵や兵士が次々新市街地方面へ下ってゆく。 「叛乱・・・」私は予想できた事態に覚悟を決める。 身だしなみを整える。文官礼装に短刀を腰を差す。 官舎に王城から伝令の騎兵がやってきて至急王城へ向かうよう指示が出た。 王城の兵団の出撃は続いている。私は駆け足で王城に向かう。 王城はまるで戦争で攻め込まれる前のように防備を整えようとしていた。兵士たちは騒然として、文官たちは動揺を隠せない。私は書記官長殿の部屋へ向かうと書記官のうち平民書記官だけ集まっていた。書記官長殿は王都各所で貧民が叛乱を起こし、現在鎮圧中であることを語り。 「国王陛下、王族、多くの貴族は王城裏の船着き場から避難した。我々は次の船で避難するが、今のところいつ迎えが来るかわからない。」 書記官長殿は他の書記官たちはもう逃げてしまった。まぁ自分も逃げだせたがプライドが許さないのだがね。といって笑った。私含め4人の書記官もつられて笑ったが、私以外の3人は引きつっていたが。 私たち文官は担当部署に待機して指示を待てとの命令が副宰相名で命令が下された。宰相殿さえもう逃げ出してしまったようだ。 しかし状況が何もわからない。私は書記官長殿に許しを得て王城の3階の貴族書記官の部屋のベランダへ向かう許可を得た。騒然とする王城の人の流れに逆らいながら3階にあがり、ベランダに踊り出て王都を見渡した。 朝聞いた人の声。怒声や悲鳴が明らかに近づいている。城門はすべて閉じられ打ち破られないように補強を施している。広場には重武装の騎兵、歩兵が万が一に備えて隊形を整えている。新平民街は明らかに火災が発生し拡大したのか煙の中に風景が見えない。 旧市街からまっすぐ新市街に伸びる道に貧民たちが騎兵や兵士に襲いかかる風景が見えた。やはり組織化されていたのか王城から伸びる3つの道から大挙押し寄せてきた貧民たちに、分散して対応しなければならない王城警護部隊は鎮圧に苦労して、ジリジリ押し下げられるようだった。 近くの都市からの応援部隊が必要な状況だ。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加