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あなたは立派な四足歩行歩行者です。
【七月二十五日(土) 天気・晴れ、気分・やや違和感】
何度も言うが、俺は二足歩行ができない。
誤解を持たれぬように言うなら、前はちゃんと出来ていた。間違いなく出来ていた。
が、ここ数日、二足歩行をした記憶はない。トイレで手を洗った記憶がないのと同じぐらい、ここ最近二足歩行をした記憶がない。
いつかは自分も杖を含めて三足歩行になることは覚悟していた。だが、四足歩行になることは覚悟していなかった。というより、そんな覚悟したくない。
しかしながら私は今、立派な四足歩行者である。
それに合わせて、最近もう一つ深刻な悩みが出てきた。
それは、四足歩行でも何かと生活できてしまっていることだ。
人の慣れとは凄いもので、中でも自分の環境適応能力の高さには驚かされる。あれだけ右足、左足のみで地面を蹴っていたはすが、今では臆することなく右手、左手も使って地面を駆けている。
最初の頃はこんな状態では生きてはいけないと恐怖を感じていたが、何のことはない、坂田はまだ生きている。四九歳でたどり着いたこの極地。山で修行している仙人だってビックリだ。
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