0人が本棚に入れています
本棚に追加
今年もクリスマスが近づいてきた。クリスマスのために用意したシュトーレンは、真っ白な粉砂糖をふりかけていていかにも冬らしかった。
茶色い生地の上の粉砂糖は、昔よく見た、地面の上に薄く積もる雪を連想させた。
テレビをつけると、ニュースで街頭のイルミネーションが映された。華やかな光が、冷たい空気を一層冷たく感じさせる。
ニュースを聞きながら、台所で今日食べる分のシュトーレンを切り分ける。重たい生地にナイフを入れるとドライフルーツとナッツの手応えを感じ、甘酸っぱい香りが漂った。
切り分けてお皿に乗せ、天気予報に移り変わったテレビを見てぼんやり考える。
今度の冬は雪は降るのだろうか。この街と、幼い頃いたあの町に。
最初のコメントを投稿しよう!