雪と粉砂糖

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 今年もクリスマスが近づいてきた。クリスマスのために用意したシュトーレンは、真っ白な粉砂糖をふりかけていていかにも冬らしかった。  茶色い生地の上の粉砂糖は、昔よく見た、地面の上に薄く積もる雪を連想させた。  テレビをつけると、ニュースで街頭のイルミネーションが映された。華やかな光が、冷たい空気を一層冷たく感じさせる。  ニュースを聞きながら、台所で今日食べる分のシュトーレンを切り分ける。重たい生地にナイフを入れるとドライフルーツとナッツの手応えを感じ、甘酸っぱい香りが漂った。  切り分けてお皿に乗せ、天気予報に移り変わったテレビを見てぼんやり考える。  今度の冬は雪は降るのだろうか。この街と、幼い頃いたあの町に。
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