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悲しげにそう呟きながら、くるりくるりと回り続ける少女。足元からは止め処なく血が流れ、今やトゥシューズ全体を真っ赤に染め上げていく。
(これでは、ジゼルではなく森の沼の墓場に居る精霊ウィリーの様だわ)
宵闇の中踊り続けた少女は、それでも細い手を伸ばし、踊りの好きな村娘を演じ続ける。
血の滲む、真っ赤に染まった足で――くるくる、くるくる。
踊り続ける少女はジゼルではなく、まるで赤い靴のカーレンの様だった。
そうして、踊り続けること数時間、彼女はあることに気が付いた。
(足が慣れてきたのかしら……段々と痛みを感じなくなってきたわ。きっと、踊りの神様が私に味方してくれているのね)
少女は心の中で踊りの神様に感謝を捧げると、より激しく、華麗に踊り出す。
だがーー。
(あら、おかしいわ。怪我をしているのはつま先の筈なのに……何故、チュチュに血がついてしまっているの?)
月明かりに照らされた白いチュチュ、そこに小さく赤い染みがついていることに少女は気が付いた。
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